本物のチームワーク

これからは「社会性の高い」仕事が求められ、そのために「質の高い」コミュニケーションが必要となるというお話をしてきました。でも、これは決して難しく「できる、できない」ということではなく「やるか、やらないか」。
情報の共有やそのための報連相も、できない、上手くいかないというのは自分本位になっていることが多く、「相手のため」のコミュニケーションができればスムーズにいくもの。部下は上司の仕事を助けるために、上司は部下の仕事がやりやすくなるように考えて行動すれば相互の信頼関係は揺るぎなくなり、より質の高い仕事となります。

今やネットの世界をコントロールしているといっても過言ではないGoogle。そんなGoogleがまだ黎明期だった2002年に「マネジャーがいないフラットな組織」を作るという実験をしたというのをご存知でしょうか。
Googleは元々創業者の2人が学生の頃から起業した会社であり、つまり2人とも会社組織で働いた経験がなく、学生の自由な研究室のような職場を好んでいたこともあり、マネジャーの必要性に疑問を感じていました。そこでマネジャーがいない組織でも成立することを証明するために、マネジャーをなくしエンジニアだけの組織にしました(その上は経営幹部のみ)。
当初はエンジニアも機嫌良く働いているように見え、2人とも満足していましたが、ある時新しく入ってきた社員からマネジャーが必要であることを指摘され、確認のために現場のエンジニアにマネジャーが必要かを問いました。答えはいずれも「マネジャーは必要」というものでした。

その理由は「学びを与えてくれる人」や「議論をまとめてくれる人」が必要だということでした。
実はこのマネジャーという存在については、1974年に出されたP.F.ドラッカーの『マネジメント』という本の中でマネジャーの必要性やその役割について書かれており、このGoogleの実験結果そのままのことが書かれていました。
すなわち、組織においてはエンジニアのような専門家だけではやりたい仕事だけに集中してしまうため、顧客の要望に応えることができず事業が成立しない、ということです。
これは、会社組織における役職や役割の必要性を説いていると同時に、組織という複数の人で仕事をする上では決して一人で進めることはできず、それぞれが関係し合うコミュニケーションが必要不可欠であることを示しています。
つまり、マネジャーなどの役割分担と共にそれぞれがコミュニケーションが取れる具体的な「機会」や「場」が組織には必要なのです。以前にもお話しした通り「仲が良ければ適切なコミュニケーションが取れているとは限らない」、仕事上でのコミュニケーションで一番大事なのは信頼関係です。そのためにはパイロットの訓練のような特別な「機会」や「場」が必要です。

南洋グループでは、「館内配送」という全国でサービスを展開している事業があり、全国の職場で社員が働いています。全国の職場でそれぞれが勝手に仕事をしていては会社として統一されたサービスの品質を提供できませんから、定期的に「勉強会」という場で各エリアの担当者が集まりコミュニケーションを図っています。
勉強会と聞くと学校の勉強のように先生役の上司から強制的に教わるようなイメージを持たれる方もいるかもしれません。でも、南洋グループでは常にお客様に喜んでもらえる仕事をするためにはどうすれば良いかを念頭に、「サービス品質の基準」を元にそれぞれが考えた取り組みの発表を通して理解や意思の共有をしています。
そこでは進行役以外は全員がフラットな立場であり、顧客満足の向上という共通の目的のために「協働の自発性」が発揮され、一致団結して目標達成を目指す本物のチームワークが醸成されているのです。

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