第3回「仕事の本質は問題解決」

これからは如何に問題に気づくことができるかが大事だということですが、「仕事」と言われるものはほとんどが何かしらの問題解決のためのものです。

例えば、たくさんの物をたくさんの人に届けるためにはトラックで運んで届けるだけでは大変な時間がかかります。物流での一番の問題はこの効率性です。効率的に物を運ぶための解決策の一つが物流倉庫での商品などが入った段ボール箱を仕分けたり、運び込む作業であり、必要不可欠な仕事です。

現在では効率的に運ぶのは当たり前、より安全により丁寧に、そして社会にやさしい物流が求められています。これはこれまでの利害関係が変化していることによるもので、具体的には荷物を運びたいお客様だけでなく物流関係者の労働時間などの仕事環境や、交通事情など社会に及ぼす影響なども考慮しないといけないからです。

ここで重要なのは、これらの問題にいち早く気づいて解決策を講じることができれば社会的な評価が上がり、引いてはその会社が選ばれることになるということです。つまり、仕事の本質は問題解決であり、漫然と作業をすることではないということです。その仕事が「誰のため」「何のため」であるかを理解し、仕事に対して問題解決の意識を持って取り組むべきなのです。

こういうと少々大袈裟で大変そうに思いますが、言い換えれば「周りの人に喜ばれる仕事」を心がけるということです。そのためには、周りの人、これは身近な人だけでなく仕事に関係する人や地域の人も含めて、周辺に気を配り変化や問題に気づけるようになることが大事です。

この気配りや気づきは人の先天的な性格によるものだと思って諦めている方もいるかもしれませんが、これは訓練することによって身につけることができます。訓練と言ってもそれほど身構える必要はありません。例えば入社後の研修なども訓練(Off-JT:Off the Job Training 職場外での訓練)ですから、働くことで身につけることはできます。

でも、できれば普段仕事をしている中で自然と身につけられるのが一番良い方法です。これは先ほどのOff-JTに対するOJT(On the Job Training)と言って職場での訓練、つまり仕事をしながら色々なことを身につけていくというもの。

しかし、コロナ禍でのリモート業務やそれ以前からネット通販などのコミュニケーションのデジタル化によって「非接触型」の仕事が増え、気配りや気づきを体得する場は減少傾向にあります。

これからはAIの台頭によってますます気配りや気づきが求められていくのに、それを体得する場は減少傾向にある。飲食店などの接客業は文字通りお客様と直接コミュニケーションをとることが仕事ですから、気配りや気づきを体得することはできます。ただ、接客における気配りや気づきというのは基本的なもので言わば「社会人としてのマナー」です。これからの社会で求められるのは会社が行っている事業、あるいは社会問題における「仕事としての気配りや気づき」なのです。つまり、先ほどの接客業においては店長などの責任者や管理者の目線での気配りや気づきが働く人すべてに求められているということです。

いきなり責任者の目線で仕事をするのは難しいかと思われるかもしれませんが、それが可能な仕事もあります。それが南洋アスピレーションの事業である「館内配送」などの受託業務です。これは企業からその業務を請け負い、その企業内で南洋アスピレーションの社員が働くというもの。この仕事がなぜ責任者の目線での気配りや気づきを体得できるのか、それはお客様の仕事の一部を請け負い、お客様先(同じ場所)で一緒に働くからです。

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